実は腰が痛くなるんです

 最近、腰が痛くなることがあって。我慢できないほどではないけど。そういえば、生理前後や排卵日前後が多いかな。生理痛がひどかったり、お腹がはったり、ひんやりすることも。腰痛って、ちょっと年寄りくさいかなと思って、あまり同僚や友達にも話してません。でも、治る様子もないし。私はこのまま、腰痛もちの人生を送るの?? 。

 腰痛の原因はさまざま。背骨が原因(椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・骨粗しょう症など)、 内臓が原因(腎臓や尿管の結石・膀胱炎・婦人科の病気・悪性腫瘍など)、 姿勢不良・筋疲労などの原因があるといわれています。 背骨に異常がある場合や、結石・悪性腫瘍の場合は、激痛のことが多く、当然検査をする人がほとんどかと思いますが、じんわりした痛みでも、婦人科の病気や、腎機能の弱りを反映している場合があるので要注意。ひどくなるようなら、ほかに心当たりの症状はないかチェックして、適当な機関で検査を。

中国漢方では?

 漢方では、「腰は腎の府」といわれていて、腰痛は、「腎」の弱りと関係が深いと考えます。漢方の腎は、腎臓や泌尿器系全般とその機能・卵巣や子宮とその機能・各種ホルモン分泌・骨の生成などを、総合してコントロールしていると考えます。寒さ・疲れなどがひきがねになることも多いですが、腰の痛みには、腎の弱りや先天的に腎が弱いことによる「腎虚」が深く関係すると考えます。

 中国漢方には、「補腎薬」といった腎を強くする薬があります。現在現れている症状・腎の弱りの程度・他の全身症状などによって、薬ののみかた・種類は変わってきますが、腰痛や腰痛を伴う婦人科疾患・腎臓などの病気の改善には、効果を発揮するお薬です。

□貧血気味・生理おくれがち・冷えが強い・体温も低めの人は→参茸補血丸
□冷えが強い・寒がり・腰と足が重だるい・疲れやすい→海馬補腎丸、八味地黄丸
□冷えたりして痛みがでた・足や筋肉も痛いことがある→独歩丸

 などがよく使われるお薬です。

養生法など

 腎は、身体の大元で、「腎虚」は、実にさまざまな病気に関係してきます。婦人科の病気だと、卵巣嚢腫・子宮内膜症・ポリープ・子宮筋腫・不妊・更年期障害・骨や歯がもろくなるなど。腎臓や膀胱系の病気など。リウマチ・膠原病・喘息などの免疫疾患にも関係が深いといわれています。

 「腎」を強くするものの代表は、黒いものと、ネバネバしたもの。黒ゴマ・黒豆・黒米・黒砂糖・黒きくらげ・わかめ・ひじきなど。塩・砂糖などの調味料もなるべく精製されてないミネラル豊富なものを。ネバネバしたものは、おくら・山芋・納豆・モロヘイヤなど。良質のたんぱく質・色の濃い野菜とともに、意識して摂るようにしてみてください。インスタント食品・お菓子・アイス・脂っぽいものなどは、栄養のバランスや冷え・胃腸への負担を考えて、極力控えて。背骨を支える筋肉をしっかりさせるのももちろん大切。特に腹筋や背筋を中心に、全身の筋肉をバランスよくきたえておく必要があります。

 『腎』は、身体の1番奥にあり、何しろ大元なので、それだけに、お薬の効果が現われるのに時間がかかることがあるかもしれません。また、改善したようにみえても、大元は、よくなりきれないこともあり、この場合は、お薬の量・種類を工夫しながら、じっくり続けることも必要です。食事面や生活面での不摂生、無理無茶などで、腎を弱くしてしまうことは、上記の病気にかかりやすくなる他、更年期が早く来てしまう、早く老けてしまう、アレルギーなどもおきやすくなるなど、いいことがありません。腰の違和感や痛みを感じたら、早めに、生活習慣や身体の状態を見直して、改善の手をうっておくことをお薦めします。