新生活で心身の疲れがピーク、5月病につながる?
4月は、新学期や、職場の移動など、新生活をスタートした方も多いのでは。新たな環境は、意欲的になる一方、緊張しやすく、漢方の「肝」(自律神経)にも影響し、さまざまな不調がおきがちです。
また、中医学で考えると、春は、「肝」と関係が深い季節。漢方の「肝」は肝機能はもちろん、自律神経、筋肉の動き、目の機能などを司ります。春は、ただでさえ、肝のトラブルが出やすいうえ、環境の変化による肝への負担が、心身の不調をさらに助長させることになるのです。
症状としては、頭痛・頭重・肩こり・イライラ感など頭部の症状がでやすくなります。また、目の下がぴくぴくしたり、足のつりなども起きることがあります。長引くと、気持ちの落ち込みや憂鬱感が強くなり、睡眠の質が悪くなる、寝汗、寝ても疲れが取れないなどと、慢性の疲労を感じることもあります。
疲れがたまらないうちに、気のめぐりを整え(リラックスさせる)、体の疲れをのぞく(補気)ことで、不調を改善しましょう。肝の調整には、逍遥顆粒・婦宝当帰膠など。気の補充には、麦味参・心脾顆粒・参茸補血丸・亀鹿仙など。不調の出やすい時期も漢方は味方になりますよ。
生活のリズムや食習慣はこの時期も大切です。なるべく寝る時間や胃起きる時間を一定にして、睡眠時間を確保しましょう。砂糖・加工食品・刺激物・アルコールなどは控えめに。春に出回る春菊・菜の花・セリなど、苦みのある野菜は体調の調整に役立ちます。冷たい飲み物をたくさんとるのも気をつけましょう。
気温の乱高下で体調不良、これも気象病?
温度や気圧が急激に変わる春。体がついていかないと感じる方も多いのでは。
気温や気圧の変化が大きいと、血管や筋肉は収縮や弛緩を繰り返すことになり、血圧が上がったり、肩こり・めまいなどが起きやすくなります。自律神経にも負担がかり、不眠やだるさなどもひきおこします。
中医学で考えると、春は、体内の「陽気」が盛んになり気が上昇する時期。でも体内の気血のバランスが悪い場合、気が体の上部で過剰になり、頭痛・頭重・肩こり・イライラ感など、頭部の不快な症状がでやすくなります。
さらにすすんで、体内で「内風(ないふう)」が起きると、めまい・耳鳴り・ふらつき・血圧上昇などもおきることがあります。花粉・強風など外からの邪、「風邪(ふうじゃ)」も受けやすい時期なので、さらに症状がひどくなることがあります。これらのことから、春は、頭痛・頭重・肩こり・イライラ・めまいなどがおきやすいのです。体内の気血や陰をととのえ、風邪(ふうじゃ)の影響を軽減することで、すっきりすごしやすくなります。
体内の調整には、杞菊地黄丸・婦宝当帰膠・冠元顆粒など。風邪対策には、涼解楽・活絡丹・衛益顆粒など。症状で使い分けると効果的、それぞれの症状をお相談ください。
生活のリズムや食習慣はこの時期も大切です。なるべく寝る時間や胃起きる時間を一定にして、睡眠時間を確保しましょう。砂糖・加工食品・刺激物・アルコールなどは控えめに。春に出回る春菊・菜の花・セリなど、苦みのある野菜は体調の調整に役立ちます。冷たい飲み物をたくさんとるのも気をつけましょう。
例年のことながら花粉症で悩んでいます、そろそろ根本から改善したい
花粉やハウスダスト・温度差・化学物質などに反応して、くしゃみや鼻水、目のかゆみや充血などがおきる人は多くいます。春のスギ花粉や秋のイネ科植物の花粉症は代表的なもの。
中医学では、「衛気」(バリア力・粘膜の免疫力)が弱っているとおきやすいと考えます。バリアが弱いため、花粉やウイルスなどの刺激が、簡単に体内に入り込み、炎症をひきおこします。
冷えがちな人の場合、くしゃみ・寒気・さらさらした鼻水などが特徴。体が熱を持ちやすい人の場合、目のかゆみ・充血・鼻のつまりなどがよくおきます。最初は鼻水だけなのに、長引くうちに炎症が強くなり、つまりや顔の熱感・頭痛などがおきることもあります。「衛気」を補い強化することによって、粘膜の機能が正常になると、症状が軽減し、継続することによって体質改善にもつながります。
おすすめは衛益顆粒や五涼華など。眠くならない、のどが渇かないのも、使いやすいですよ。
花粉症は、食生活の偏りや睡眠不足、アルコールやたばこ、汗のかきすぎ、ストレスなどで悪化します。生活や食習慣を見直すことも大切です。砂糖・加工食品・刺激物・アルコールなどは控えめに。冷たい飲み物をたくさんとるのも気をつけましょう。
たくさん歩いたり冷えた時、足がつります。痛みもつらいです。漢方で対策は?
発汗や就寝中は、体の中の水分が不足しやすくなります。また冷えた時は、筋肉が緊張し、けいれんが起きやすくなります。加齢による筋肉の衰えや糖尿病・脊柱管狭窄症なども足がつる原因になります。
対策として、水分やミネラルの補給、ストレッチなどがありますが、中医学でも総合的で根本的な来策があります。中医学では、「肝腎陰虚」や「瘀血」の傾向があることが多いと考えます。腰痛や足のむくみがあり、目が疲れる、口が渇く、肌なども乾燥しがちな人です。
頓服では芍薬甘草湯がよく使われますが、より根本的には、肝腎(筋肉や腎機能)を補い、活血(血をめぐらす)の対策がおすすめです。肝を補うとは、筋肉に栄養をめぐらし、強くやわらかい状態にすることです。
また、腎を補うとは、体内の水分の調節を過不足なる整えることもさします。活血は、血のめぐりをよくし、腎機能をサポートし、筋肉の緊張もやわらげてくれます。これらで、筋肉や血流が順調になってくると、筋肉の緊張や水分不足や血行不良がおきにくく、症状がでにくくなると考えます。目の下がぴくぴくする、体が硬いのも、肝腎陰虚の傾向があります。気になる方は、早めに対策を。
食べものは、肝腎を補うものとして、赤いもの黒いものがおすすめです。クコの実、人参、なつめ、レバー、かつお、さけ、ドライフルーツ、昆布、のり、黒ゴマ、黒砂糖、黒豆、牡蛎、貝類など。血行には、玉ねぎ、黒きくらげ、ネギ、よもぎ、春菊、黒豆、小豆など。味の濃いもの、辛い食べ物はとりすぎないようにしましょう。
風邪のあと、なかなか咳が止まりません。
風邪やインフルエンザなどで、のどや気管支に炎症がおきたとき、咳は菌やウイルスを痰といっしょに追い出す役割を果たしますが、炎症は治まっても、粘膜が乾燥し機能が弱ってしまうと、空咳がしばらく続くことがあります。
中医学で考えると、「肺」(のどや気管支・肺・鼻)の気陰両虚のケースがよくあります。皮膚や粘膜のバリアで体を守る力「気」や、粘膜の働きを正常に保つ「陰」(うるおい)の不足で、のどや気管支の機能が弱ってしまっているのです。外気が乾燥する時期は、さらにうるおいの不足が大きくなり、から咳やしつこくきれない痰が続くことがよくあります。
咳が残りやすい方、いつものどのイガイガが気になる方は、「肺」の「気」「陰」を増し、サポートすることで、カラ咳体質の改善が可能です。漢方では「麦味参」などが活用されます。食べものは、長いも・レンコン・ゆり根・ぎんなん・だいこん・はちみつ・白きくらげなどに潤す作用があります。食事にとりいれてみてくださいね。
寝ても休んでもとれないがんこな疲れ、これは、よく聞く副腎疲労?
腎臓の上には、副腎というのがあって、副腎皮質からはコルチゾール、アルドステロン、性ホルモンが合成・分泌されています。副腎皮質ホルモンという言葉は、よく耳にするかもしれませんね。合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)は、さまざまな病気の治療に使用され、炎症を抑えたり痛みをやわらげたりします。
その中のコルチゾールは、抗ストレスホルモンともいわれ、生命維持に必須のホルモンです。でも、日頃、ストレスを常に感じていると、副腎が休む間もなくコルチゾールを分泌しているため、やがて副腎自体が疲弊してしまいます。すると慢性のがんこな疲れや鬱っぽさが起きてしまいます。睡眠不足や栄養不足、極端な気温の変化なども副腎が疲れる原因です。
症状としては、慢性の疲れのほか、うつ症状や不眠、起立性低血圧、朝起きられない、記憶力や集中力の低下、寝ても眠気が強い、アレルギー症状の悪化、PMS症状の悪化などがあります。中医学で考えると、エネルギー不足に陥った「気虚」や免疫力低下・各種ホルモン力不足の「腎虚」の症状がよく当てはまります。気になる方は、体質にあった漢方を試してみたらいかがでしょうか。
亀鹿仙や補腎丸とつく処方などは、腎虚対策に活用されます。また、コルチゾールの材料となる栄養や休息も必要です。腎を養うため、ねばねばしたもの、黒い食材がおすすめです。ヤマイモ・長芋・なめこや、昆布・牡蛎・黒ゴマ・黒豆・海苔・黒きくらげなど。その他、鶏肉や魚介類、アジやイワシなどの青魚(オメガ3系脂肪酸を含む)、ビタミンミネラルを含む、野菜・果物・ナッツ類・クコの実・なつめも、補気の働きがあります。逆に控えたほうが良いのは、カフェインやアルコール・加工食品などです。
冬は、季節的にも腎を養うとよい時期、なるべく生活リズムを一定にして、腎の精も少しずつ補充しておきましょう。
涼しくなってから、不眠や気分の落ち込みが気になります。
季節や年齢で仕方ないのでしょうか、治療すべきでしょうか。
秋になると、日も短くなり、朝晩の温度差も大きくなります。夏は、暑さへの対応で体の疲れが大きかったのに対して、秋は、環境の変化に対応する自律神経の疲れが大きくなります。
自律神経は、気温が変動した時の体温調節、ストレスを感じた時の体調調節など、さまざまな微調節に関係します。自律神経への負担が大きくなる時期は、睡眠やメンタルにも不調がでがちです。さらにストレス・睡眠不足などが自律神経への負担を大きくします。
中医学で考えると、この時期よく見られるのは、夏の発汗やストレス過多などから、心機能・精神作用の「心」が疲れ、また落ち着きをつかさどる「腎」とのバランスが崩れる「心腎不交」というタイプです。
「心」(気持ち)は焦り落ちつかず、「腎」(落ち着き)が、疲れて働きがにぶくなって「心」を支えられない状態になってしまいます。のぼせやほてりを感じ、寝つきが悪く、夢が多くなります。動悸や口の渇き・不安感・焦燥感が強くなることもあります。
「心」と「腎」のバランスを取りサポートしてあげることで、メンタル・体、ともに調子が良くなることもよくあります。舌先がいつもより赤くなったりピリピリしたら、要注意ですよ!
秋になって原因不明の微熱が続き、寝つきも悪くなりました。
インフルエンザや感染症などの検査をしても、陽性ではありません。
ずっと解熱剤をのんで様子をみるしかないでしょうか。
中医学では、夏など発汗が続いたあとは、「気」(エネルギー)や「陰」(体液)が消耗して、体が気陰両虚になっていると考えます。「気」はあらゆる体の機能の原動力です。
その不足は、だるさ・疲れ・食欲不振・朝起きられない・めまいなどにつながります。「陰」は体内や粘膜を潤すと同時に、熱を冷まして体温を下げ、気持ちを落ちつけ、よい睡眠を促すものです。不足すると、夕方から夜にかけて、体が熱っぽくなり、寝汗やだるさ・不眠・不安・動悸などにつながることがあります。
夏よく汗をかいた人、日頃体温が高いお子さん、更年期世代、体内が乾燥しがちな高齢者に特に多いですが、夏が高温になっている現代は、誰しもおきがちです。
気陰を補ったり、清熱の漢方の対応で、根本から改善することをおすすめします。また、食べ物で、陰を補うには、れんこん・やまいも・なしぶどう・白きくらげ・ゴマ・キノコ類などもおすすめです。秋の食べ物が多いです。旬のものをいただくのも大切ですね。
のどがべたつき、不快感があります。これが、のどに鼻水がまわる後鼻漏?
朝起きたときとか、上を向いて寝ているときなど、特に気になります。
いつも、のどがべたついている感じで、気持ち悪いです。
鼻水は、主に鼻の穴から排泄され、一部は、少量のどにまわっているといわれています。
健康な人でもそういわれていて、量が多くなければ気になません。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など鼻水の量が増えたり、鼻からの排泄の力が弱いと、
のどにまわって落ちるのがわかるようになります。
口の中がねばねばする、つばが増える、痰の混じった咳がでる、
のどに炎症がおきて声がかすれるなどの不快な症状がおきてしまいます。
のどの奥で炎症が慢性的におきているため、口臭がすることもあります。
鼻水がですぎないようコントロールして、きちんと排泄できるよう、症状に応じた
漢方を試してみたらいかがでしょうか。
狭心症のような胸の痛みが気になります。検査では異常なしといわれたけれど。
狭心症ではないとの診断ですが、痛みがあるのはつらいし不安です。何か原因があるはずですよね。
心臓を取りまく冠動脈の奥深くには、微小冠動脈という細い血管がはりめぐらされ、心筋に酸素や栄養を供給しています。
この微小冠動脈が十分に拡張しなかったり異常に収縮したりすると、胸痛などを感じることがあります。この場合、冠動脈の太い血管は正常なので、心電図・血液検査・エコー・レントゲンなどでは不明となり、微小循環狭心症の疑いといわれるかもしれません。
微小循環狭心症の場合、女性ホルモンの低下が関係し、更年期の女性に多くみられます。30分程度胸痛が続き、運動時も安静時でもおきます。検査しても異常がみつからない、治療を特に必要としない、そんなときは、微小循環に働きかける生薬製剤を試してみたらいかがでしょうか。