子宮筋腫

 女性の20-30%が発病する良性の腫瘍で、閉経とともに縮小しますが、できる場所や大きさなどによって、生理痛、不正出血、不妊の原因になる場合もあり、摘出手術が必要な場合もあります。卵胞ホルモンや黄体ホルモンのアンバランス・免疫機能の低下などが関与しているとされています。

 発生する部位によって次のようにわけられます。

■漿膜下筋腫
 子宮の外側にでっぱる、自覚症状が少ない。

■筋層内筋腫
 子宮の壁の中にできる、子宮の収縮が悪くなり痛みがでる・生理出血が続くことがある。

■粘膜下筋腫
 子宮の内側につきだす、子宮の表面積が大きいので、生理過多や出血による貧血がおきやすい。

 中医学では、筋腫のしこりを長期の瘀血の停滞と考え、血行を改善ししこりを攻撃する方法で筋腫の再発や大きくなるのを防止し、筋腫が原因の体調不良の改善を目指します。

冷え・生理痛の強いタイプ

■陽虚タイプ

 漢方の「陽気」は、体を暖める生命エネルギーのようなもの。この陽気が不足している人は、お腹や腰が冷えやすく、瘀血やしこりもできやすいと考えます。また、生理中、体を冷やしてしまい、陽虚体質にしてしまうこともあります。このタイプは生理痛やお腹の冷えが激しく、内膜症や嚢腫を伴うことも多い。出血は黒い塊がよくある。

 ほかに、胃腸が弱くて下痢をしやすい、疲れやすい、スタミナがない、腰痛が起きやすい、下半身がむくみやすいなどの症状もよくあります。子宮内膜症、ポリープ、卵巣嚢腫などもできやすい。冷えや薄着、冷たいもの、生もののとりすぎに注意(特に生理中)。生理中はお腹にカイロなどを。

 漢方では、「活血薬」を中心に利用します。 爽月宝、水快宝、桂枝茯苓丸など。

色のうすい出血の多いタイプ

■気虚タイプ

 漢方では、「気」は、過剰に出血しない様に、子宮をうまく収縮させすばやく排泄させる働きがあると考えますが、気の足りない「気虚」の人は、子宮の収縮や生理血の排泄がうまくいかず、だらだらと出血してしまうと考えます。この場合の出血は、量は少なめで、色も薄かったり、茶色っぽかったりします。気血が生理で不足するので、生理中から後半、しくしくとお腹が痛くなることがあります。

 ほかに、眠くなったり、疲れやすかったり、風邪をひきやすい、めまい、気分の落ち込みなどがおきることもあります。貧血、低血圧、冷え性、黄体機能不全などが起きやすい。 「気」「血」を消耗する運動、ハードワーク、夜更かし、目の酷使などは注意。 豆類・雑穀類・黒ゴマ・レバー・にんじん・プルーンや消化のよいものがおすすめ。冷たいものは控えて。

 漢方では、「補気薬」や「活血薬」を利用します。 帰脾錠、婦宝当帰膠、田七人参、爽月宝、水快宝など。

色鮮やかな出血の多いタイプ

■血熱タイプ

 漢方では、「熱」は、血を勢いよく流す働きがあると考えますが、熱の過剰な「血熱」タイプの人は、出血が多くなってしまうと考えます。 この場合出血は、量が多めで、色が濃いあるいは鮮やかなのが特徴です。生理周期が早まりがちであったり、イライラやのぼせがあることもあります。

 PMS(月経前症候群)特に情緒不安定や肌荒れなどが起きやすい。日頃から、気と血のバランスをとるために、「血」をよくするレバー・なつめ・プルーン・にんじんなど赤い食べ物を。「気」をめぐらすミント・柑橘系のフルーツ・シソ・セロリ・パセリなどをとることをおすすめ。神経を興奮させる辛いものや味付けのこいもの、脂っぽいものはさけたほうが無難。

 漢方では、「清熱薬」を中心に利用します。涼血清営顆粒、温清飲、田七人参など。