くも膜下出血や脳腫瘍の症状としておこる症候性頭痛と、頭痛そのものが病気とみなされる機能性頭痛に分けられます。 症候性頭痛は、突発性の激しい痛みが特徴で、麻痺やけいれん・めまい・ろれつがまわらないなどの症状を伴うこともあり、すぐに病院の診断が必要です。
慢性頭痛とされるものは、機能性頭痛で、次のように分類されます。
■片頭痛(偏頭痛)
こめかみの辺りを中心に片側(両側のこともある)が脈に合わせて、ズキンズキンと痛くなります。ストレス・ホルモンバランスの乱れ・アルコールの摂取などを引きがねに、頭部の血管が拡張し、炎症が起きるためにおこるといわれています。予兆として、不快な気分になったり、生あくびが出たり、目の前にチカチカした光が見えたりすることもあるようです。1か月に数回のペースでおきることが多く、20-50代の女性に多い頭痛。
■緊張性頭痛
後頭部から首筋にかけての、じわっーとした痛みや、締め付けられるような感じの痛み。頭重感や肩のコリも伴います。同じ姿勢での作業やストレスなどを原因に、筋肉が緊張、血行不良を引き起こし、筋肉内に疲労物質が蓄積されるためといわれています。連日、続くタイプの頭痛。
■群発頭痛
一般的ではないですが、群発期(1年に1か月程度)、片側だけ、えぐられるような激しい痛みが、1回15分-3時間程度、続きます。痛みが起きる時間は、たいてい決まっていて、目の充血、頭部の熱感、鼻水なども伴います。男性に多い頭痛。
漢方では、大きく頭部の熱過剰タイプ、頭部の血液不足タイプにわけて考えます。また、痛みがどの場所でおこるかということから、どの臓腑に異常があるか探ります。
痛みが激しくめまいもあるタイプ
■肝陽タイプ
漢方では、過剰な陽気(精神的興奮やストレスなど)は、熱の性質をもち、痛みの原因になると考えます。頭がくらくらしたりめまいがすることもあり、イライラ、夜興奮して眠れない、口が苦く感じることもある、痛みが激しいなどが特徴です。慢性になると気持ちやホルモンを安定させる「肝陰」も消耗して治りにくくなります。
高血圧傾向、自律神経失調症などになりやすい。 神経を興奮させ肝陰を消耗するコーヒーや辛いもの、アルコール、こってりしたものは、控えたほうが無難です。生野菜や果物、瓜類など、体を潤しながら冷やす食材がおすすめです。
漢方では、「鎮肝」や「清熱」のものを中心に利用します。 天麻鈎藤飲、瀉火利湿顆粒、柴胡加竜骨牡蠣湯など。
痛みは鈍くふらつくタイプ
■血虚タイプ
漢方の「血」は、頭部に血液を届けると考えますが、「血虚」の人は、充分な血液や酸素を供給することができず痛みの原因になると考えます。ぼーっとした鈍痛のことが多くめまい、ふらつきや立ちくらみがすることも。ほかに、目が疲れやすい、生理周期で体調が変わるなどもよくあります。
貧血、低血圧、生理不順、冷え性などをともなうことが多い。日頃からよい血液を増やす、鶏肉・レバー・魚なつめ・色の濃い野菜などをとること。夜更かし・寝不足・暴飲暴食・心配しすぎ、特に生理中の無理や夜更かしは注意。 同じ姿勢でパソコンの画面を見つめるのも悪条件、首を回すなど工夫して。
漢方では、「補血」や「活血」の薬を利用します。 婦宝当帰膠、冠元顆粒など。
■痰濁タイプ
漢方では、過剰な水分の「痰湿」は、頭部への血行を邪魔するので、やはり充分な血液が届けられず、痛みの原因になると考えます。重だるい痛みで、痛みはさほど激しくないですが、頭に布をまいたような感じや締め付けられるような感じがします。梅雨時など湿度の多いときにひどくなりやすいのが特徴です。ほかに、手足や顔がむくみやすい、舌に苔がつきやすい、胃腸が弱いなどもよくあります。
肥満、高脂血症、多嚢胞性卵巣症候群などになりやすい。とりすぎた水分(ビールやアルコールも)がきちんと排泄できず痰湿(頭痛)の要因になっている場合もあるので、チェックしてみましょう。特に冷たいものは、水分代謝が悪くなってしまうので要注意。軽い運動や、入浴で、汗をかいて、余分な水分は溜め込まない習慣を。 食品なら、きゅうりなどの瓜類や、スイカ、ハトムギ、小豆、緑豆、豆腐などがお奨め食材。
漢方では、「袪痰利湿」などの薬を利用します。半夏白朮天麻湯、星火温胆湯など。
■腎虚タイプ
漢方では、「腎精」が脳を支えていると考えますが、もともと腎精が不足している人、高齢の人は、脳が充分機能せず、痛みの原因になると考えます。ぼっーとした空虚な感じの痛みで、集中力がなくなり、忘れっぽくなります。
腎を養う黒い食べ物、ネバネバした食べ物、血流をよくする魚、野菜を多く、バランスのとれた食事がみなおしてみることが大切。
漢方では、「補腎薬」を中心に利用します。血行不良も伴うことが多いので「活血薬」も利用します。 海馬補腎丸、参馬補腎丸、六味地黄丸、冠元顆粒など。