卵巣嚢腫

 卵巣に液状の袋がたまって腫れている状態です。ほとんどの場合、小さく症状もないですが、大きくなると、ねじれてたり、破裂することがあります。

 大きく分類すると・・・

■単純性嚢胞
 丸い袋状の隔壁や腫瘍固まりがない水だけのものでよくみられるタイプのもの。小さなもので症状がなければ、手術をせずに、経過観察のみのことが多い。非常にまれに悪性部分が隠れている場合もあるので経過観察は必要。

■皮様嚢胞
 良性だが、内部に、皮脂・毛髪・骨・軟骨・歯などを有する腫瘍。小さなものは無症状だが、大きくなると下腹部痛や不快感があらわれる。通常次第に大きくなるので、経過観察した後、手術することが多い。

■チョコレート嚢腫
 子宮内膜が卵巣内で増殖、生理時出血してドロドロした茶褐色の血液がたまったもの。生理時ごとに出血するので、徐々におおきくなる。 生理時や性交時の下腹痛の原因になる。

 中医学では、単純性嚢胞のような水のようなものを、おもに「痰湿」、チョコレート嚢腫のような血によるものを、内膜症同様、おもに「瘀血膏脂」と考え、それらを攻撃する薬や大元の体質改善のお薬を利用します。

おもに水がたまっている痰湿タイプ(単純性嚢胞)

 漢方では「痰湿」は、正常に代謝できず体内に残って、さまざまな機能を邪魔する病理産物と考えます。婦人科系では、卵巣嚢腫や多嚢胞性卵巣・子宮筋腫などが、痰湿に大きく関係しています。「腎」(卵巣機能)がもともと弱いほか、冷えや血行不良、偏った食事が原因で、水分や脂質の代謝が悪くなっていることも。あまり、症状がないことが多いですが、腹部の違和感のほか、腰痛が起きやすい、むくみやすい、冷え性などの症状があることも。

 子宮筋腫などもできやすい。 冷えや薄着、冷たいもの・生ものなどのとりすぎに注意。 インスタント食品や外食、お菓子、脂っぽい食事や偏食に注意。

 漢方では、「化痰利湿薬」を中心に「活血薬」なども利用します。 爽月宝、水快宝、シベリア零芝、芎帰調血飲第一加減など。

内膜症が原因の瘀血膏脂タイプ(チョコレート嚢腫)

 漢方では、異常な子宮内膜組織を、「瘀血・膏脂」と考えますが、卵巣のチョコレート嚢腫も内膜症同様、「瘀血・膏脂」ととらえます。「瘀血・膏脂」とは、血行不良の瘀血に、代謝できない水分や油分の滞りや酸化物が混ざったもの、ちょうどべっとりした脂汚れのような状態です。基本的には、「瘀血膏脂」を除くお薬を中心に、体質に応じたお薬で対応します。

 他の場所にも子宮内膜症の可能性あり、激しい生理痛、卵管癒着など。 無理な運動や仕事・寝不足など、疲れをためるのやストレスは注意。 暴飲暴食、冷たいもの、脂っぽいもの、甘いものなどのとりすぎはよくありません。 特に生理中の冷たいものや冷えには充分注意してください。

 漢方では、「活血薬」「化痰薬」のお薬を中心に利用します。 爽月宝、水快宝、シベリア零芝、参茸補血丸、田七人参など。