冷え性

 西洋医学では、冷え症は、おもにホルモンの変動、自律神経のアンバランス、貧血などが関係しておきるといわれています。 中医学でも、いくつかのタイプに分けて、お薬を組み合わせたり使い分けます。漢方のとても得意な分野です。

強い冷え・お腹も冷たいタイプ

■陽虚タイプ   

 漢方では腎の「陽気」は、体を暖めたりホルモンを活性化する原動力と考えます。 この陽気の足りない「陽虚」タイプの人は、お腹や腰・下半身中心に、冷えが強く、さわるとひんやりすることもあります。生理痛もひどいことが多く、生理中はより冷えが強かったり、生理血内に塊が多かったりします。かなり寒がりで、冬やクーラーは苦手!本来陽虚でなくても、薄着や冷たいものを取りすぎてお腹を冷やし、冷え体質にしてしまうことも。

 ほかに、下痢をしやすい、腰痛、疲れやすい、むくみやすい、スタミナがないなどの症状もよくあります。不妊症、子宮内膜症、子宮筋腫、低体温、無月経、無排卵月経などが起きやすい。 ふだんから(特に生理中)薄着による冷え、冷たい食べ物による冷え、クーラーなどの冷えに注意! 生理中はお腹にカイロをはったり、毎日湯舟につかるなどして、体を暖める習慣を。 鶏肉・羊肉・にら・ねぎ・しょうが・にんにく・根菜・シナモンや、火を通した食事は、体を暖めるのでおすすめの食べものです。逆に、生野菜、刺身やアイス、ジュースなど冷たいものの飲食は控えめに。

 漢方では、「補陽薬」を中心に利用します。 参茸補血丸、海馬補腎丸、八味地黄丸、婦宝当帰膠など。

手足が冷えるタイプ

■血虚タイプ

 漢方の血は、体のすみずみまで暖めたり肌に栄養をあたえるものと考えます。 「血虚」タイプの人は、体の末端の肌が乾燥したり、冷えやすくなります。

 ほかに、顔色がくすんり青白い、めまい、肌や目・髪が乾燥する、便秘がちなどの症状もよくあります。女性は、生理や出産・授乳などで血を常に消耗しているので、血は不足することがとても多いのです。生理不順、貧血、ドライアイ、しもやけ、皮膚掻痒症などが起きやすい。 「血」を消耗する夜更かし、目の酷使などは注意。ストレスや気の使いすぎも血を消耗します。レバー・にんじん・プルーンなど赤い食品や黒ゴマ・黒豆など黒い食品もおすすめですが、バランスのとれた食事が大切。

 漢方では、「補血薬」を中心に利用します。 婦宝当帰膠、四物湯など。

手足が冷え肩こりなども強いタイプ

■瘀血タイプ

 血の量はあるけど、「瘀血」タイプの人は流れが悪く、末端までゆきわたりません。 お風呂に入ったり、運動すると、一時的に血行がよくなるので、改善しますがまた戻ってしまいます。

 ほかに、生理痛がある、生理時塊が多かったりだらだら続く、肌や歯茎などが黒っぽい、色素沈着しやすい、頭痛や肩こりしやすいなどの症状もよくあります。子宮内膜症、子宮筋腫、ポリープ、痔などが起きやすい。甘いものこってりしたものは控えめにして、香りの強い野菜や豆類・海藻などを積極的に。 軽い運動やストレッチなども習慣に。

 漢方では、「活血薬」を中心に利用します。 冠元顆粒、婦宝当帰膠など。