考え方、取り入れ方…「自然力」を組み合わせて 2008年4月9日付

 「漢方」と聞くと、手間がかかりとっつきにくい、そんなイメージがあるのではないでしょうか。さまざまな病気に対応する漢方ですが、病気のときは、西洋医学と異なる独特の観察法で慎重に選びます。一方、人体も自然の一部と考え自然との関係を無視しない、個の体質や実際に感じる感覚を大切にし、それに即した治療法を選ぶなど、シンプルで親しみやすい面もあります。

 例えば、春になると植物が芽吹くように、人も陽のエネルギーが盛んになり心身ともに活発になりますが、過ぎると、頭痛・肩凝り・イライラ・目の充血などがおきがちです。フキ・セリなど春野菜はその苦味が穏やかに陽気を鎮め、季節の恵みは理にかなっているのがわかります。そうした自然のパワーのさらに強い薬用植物などを効果的に組み合わせたものが漢方と考えてよいでしょう。

 また、同じ風邪でも、寒気が強ければ温めて風邪を追い出す漢方を使い、熱がありのどが渇く風邪なら熱を冷まして発散させる漢方を使います。ゾクゾクするとき、温かいおかゆやくず湯などで、体の緊張がほぐれ楽になるのを想像するとわかると思います。さらに、漢方には「未病先防」という、病気になる前に先手を打つ予防医学の発想があります。アンチエイジングやメタボ対策、風邪の予防などもそうです。生活習慣や食事に、漢方や漢方的な発想を取り入れれば、毎日の元気がより身近になるのではないでしょうか。