「夏特有」の不調…水分を整える「対策」を 2008年8月20日付

 夏に特有の相談では、夏ばてや脳梗塞(こうそく)予防などがあります。年々、高温による熱中症の増加のほか、夏の脳梗塞は冬よりも多くなっていることもわかってきました。暑さは、漢方では「暑邪(しょじゃ)」といい、夏の不調にはこれらが大きくかかわると考えます。

 「暑邪」が引き起こすのは、体温調節の乱れや脱水症状などです。「暑邪」により、大切な「気」(エネルギー)や「津液(しんえき)」(体内で役立つ水分)が、汗とともに消耗すると考えるのです。漢方ではパワーや潤いを取り戻す「補気(ほき)」、「生津(しょうしん)」という対策を取ります。補気することによって、摂取した水分やミネラルも、より体内で有効に活用されます。補気、生津の代表的な処方には、薬用人参を中心に即効性のある「生脈散(しょうみゃくさん)」などがあります。

 また、暑邪は水分を奪う性質があり、発汗から血液が濃くなり血流の悪い「瘀血(おけつ)」も起きやすくなります。血栓ができやすくなり脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まります。動脈硬化や糖尿病、高脂血傾向の方は注意が必要で「補気薬」のほか「活血(かっけつ)薬」というものを併用するとよいでしょう。

 食べ物でいうと、夏の補気、生津を助けるものは、うなぎ、タコ、ウリ類、豆類、山芋、梅干しなど。血流対策にお薦めなのが、トマトやシソ、ショウガなどの香り野菜です。季節の恵みを、胃腸のため冷やし過ぎないようにして食べるのが、体にも優しいようです。