乾燥から身を守る…「生薬」で不快さを除く 2008年10月22日付

 秋は、気温や湿度が下がりすごしやすい時季ですが、外気の乾燥も度を過ぎると、体に悪影響を及ぼすことがあります。漢方では、この過剰な乾燥を「燥邪(そうじゃ)」といい、口や鼻から進入して肺に入り込みやすく津液(しんえき=体内で役に立つ水分)を消耗させる特徴があります。

もともと体質的に津液の不足している「陰虚(いんきょ)」タイプの人ほど影響を受けやすく、つらい症状が出ることがよくあります。やせ型、アレルギー体質、高齢の方などです。のどを中心とした症状では、口や鼻の渇き、のどのイガイガや痛み、から咳(せき)、痰(たん)が切れないなどがよくあります。

 また、全身症状では、体を適度にクールダウンする津液の不足から生じた熱のため、火照りやのぼせ、寝汗、不眠、焦燥感、動悸(どうき)などが起きやすくなります。漢方では、のどや気管支の症状が目立つ場合、麦門冬や貝母(ばいも)といった生薬を中心に、肺系を潤すお薬を活用します。全身が水分不足の場合は、地黄(じおう)や牡丹皮(ぼたんぴ)、黄柏(おうばく)など、全体を潤す生薬や熱を除く生薬を組み合わせて活用すると、早く不快な症状が除けるはずです。

 食べ物では、トマト、キュウリ、冬瓜などのウリ類、豆乳、ブドウ、ナシ、リンゴなどの果物、アサリ、シジミ、ハマグリなどの貝類、白きくらげなどが、体を潤すのを助けるとされています。逆に、辛いもの、味の濃いものなどは控えめにした方がよいでしょう。