残暑の疲れ、乾燥に…体内に”潤い”を与えて 2009年9月2日付

 夏も終わりに近づくと、だるさや疲れ、喉や肌の乾燥などを感じることがよくあります。この時期、体内は、「津液(しんえき)」不足の傾向にあります。漢方で考える津液とは、体内の潤いや水分のようなもので、喉や粘膜を守り乾燥を防ぐほか、血液の濃度を適切に保ち、血液がスムーズに流れるために大切なものです。

 汗をかいた後の残暑は、津液の不足とともに、血液も濃くなり血栓のできやすい時期で、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞(こうそく)などのリスクも高まります。結果的に、血流が悪くなり、血栓ができたり、血管が詰まるような状況を漢方では「瘀血(おけつ)」といいます。

 残暑の漢方の養生では、乾燥したり血液が濃くならないよう津液を補う「生津(しょうしん)」と血がいきいき流れやすくする「活血(かっけつ)」がポイントのひとつです。生津には、朝鮮ニンジン、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)の「生脈散(しょうみゃくさん)」がよく活用される処方で、活血には、丹参(たんじん)などが活用されます。

 生活の中で気をつけたいのは、水分のとり方です。少量ずつこまめに、特に寝る前のコップ1杯の水はよいとされています。逆に寝る直前の大量のアルコールはよくありません。食品では、キュウリ、トマトなどの夏野菜、ナシ、ブドウなどの季節の果物、豆乳、豆腐、ネギ、ラッキョウなどの香味野菜などが、潤いを取り戻し血行に役立ちます。味の濃いもの、辛いもの、油っぽいものは、ほどほどがよいでしょう。