ヘルペスには、広範囲にライン上にできる帯状疱疹(一般的にはこちらを指していうことが多い)と、口の周囲などに水疱ができる単純性疱疹と呼ばれるものがあります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)に初感染した時のウイルスが、神経に潜伏しており、ストレス・病気・老化などをきっかけに、活動するためにおこる疱疹といわれています。広範囲の帯状に、ピリピリした痛みのあと、発赤と水疱ができるのが特徴です。身体の左右どちらかにブロック状にでて、発疹の場所・治療のタイミングによっては、神経痛として残ることがあります。
中医学では、「肝胆」の経絡(脇の下からわき腹、陰部に通じるライン)の「湿熱」(炎症)と考えます。また、中医学では、「肝陽」は春に過剰になり炎症を起こしやすいと考えるので、春先に多発するのも関連があると考えます。
漢方では、特に肝胆系に対しての「清熱利湿」のお薬を活用します。 瀉火利湿顆粒、板藍茶、五行草茶など。これらを西洋薬と合わせて服用することにより、治癒を早めたり、症状緩和を期待できます。
単純性疱疹
単純性疱疹は、やはり子供のころ感染したウイルス(初感染時は、熱がでることもわからないこともある)が、風邪や紫外線をきっかけに、活動を始めるためにおこる疱疹です。口の周囲を中心にムズ痒くなり、その後小水疱ができます。陰部にできる場合は、性器疱疹と呼ばれます。また、単純疱疹が、アトピーなど、表皮に障害のある皮膚に感染したときは、カポジー水痘様発疹と呼ばれます。
中医学では、単純疱疹を繰り返す人は、「衛気不足」(衛気は、気・エネルギーの一種で、身体の表面を廻り、身体を外的から守る働きがあると考えられています)が大きく関係すると考えます。衛気が不足すると、ほかに、花粉症・アレルギー性鼻炎・風邪を引きやすい・温度差に弱い・風にあたると調子が悪い・すぐ汗をかきその後疲れるなどの症状も。「気」をつくるには、胃腸の元気が大切ですから、暴飲暴食・冷たいもののとりすぎに注意。不規則な生活や寝不足ももちろんこのタイプの人は要注意です。水泳などで、皮膚を適当に鍛えるのはよい方法です。
漢方では、症状のあるときに「清熱薬」、症状の落ち着いているときに「補気薬」を中心に利用します。 涼解楽、板藍茶、五行草茶、衛益顆粒など。