乾癬とは、銀白色の鱗屑をともなう盛り上がった全身にでる紅斑。
約90%を占める尋常性乾癬のほか、関節性乾癬、膿疱性乾癬、滴状乾癬がある。大きさ・数・形は様々で、発疹が癒合して大きくなることもある。機械的刺激をうけやすい頭部、肘・膝、臀部、下肢伸側などにできやすいが、眼球と口唇以外なら全身どこにでも出現する。
爪の表面に発症した場合は変形して凹凸や穿孔などになる。約50%の患者さんにかゆみがみられる。入浴や飲酒などで体が温まると、かゆみが悪化することもある。乾癬はうつらない。
頻度
・人口の約0.1%、白色人種に多いといわれていたが、日本でも戦後増加し、約0.1%いるといわれる、男性がやや多い傾向。
分類
■尋常性乾癬
乾癬のほとんどはこのタイプで、乾癬の代表的な症状をしめす。
■関節症性乾癬
尋常性乾癬の症状に加え、関節リウマチ様の全身の関節の炎症を伴う。
こわばり、変形、痛みなどの症状。膝関節、指関節、手首、足首などによく起こる。
治療薬は、尋常性乾癬の薬+鎮痛消炎剤(ロキソニン)など。
■膿疱性乾癬
掌蹠膿疱症と似ているため、鑑別診断が必要。
急性汎発性膿疱性乾癬は、発熱、全身倦怠感を伴い全身の皮膚に紅潮と膿庖が多発する、炎症が強い状態。
■滴状乾癬
皮疹は乾癬に似ているが、そのひとつひとつが小さい。
扁桃炎などの前駆症状的に発症することが多い。
発症機序
・皮膚の表皮をつくるスピードが普通の10倍以上の速さとなる。
・真皮の血管が肥大、組織を炎症しながら、表皮が角化しはがれ、
・表皮の入れ替わり周期(ターンオーバー)が通常4週間のところ3~4日で完了。
・角化が亢進している状態により白いカサブタ状の皮疹が生じる。
原因
・遺伝的素因の他、内外のストレス、気候の変化、感染症、高脂肪の食事など。
・近年、関節リウマチとならぶTh17細胞性慢性疾患と考えられるようになってきている。
検査
■アウスピッツ現象
発疹のある部分を水平に削ると、点状の出血が出現する現象。
■ケブネル現象
正常な皮膚に刺激を与え、発疹の出現をみる。
■蝋片現象
表面の鱗屑をこすると蝋のようにはがれる現象。
■病理検査
皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察。不全角化、表皮突起の延長Munroの微小膿瘍が特徴的。
治療
■外用療法
副腎皮質ホルモン外用剤、ビタミンD3誘導体薬など
■光線療法
PUVA(プーバ療法)(薬をのんだあと波長の長い紫外線をあてる)
ナローバンドUVB(波長が311nm付近の狭い範囲の紫外線をあてる。薬をのむ必要がなく照射時間が短いため近年普及)
■内服療法
ビタミンA誘導体、免疫抑制剤など
漢方でのみたて
・血熱(けつねつ)
・熱毒(ねつどく)
・湿熱(しつねつ)
・血瘀(けつお)
・肝腎不足(かんじんぶそく)
・血虚(けっきょ)
などにわけられます。
清営顆粒、瀉火利湿顆粒、黄連解毒湯、冠元顆粒、温清飲、冬帰飲子、その他、清熱解毒作用のある健康食品などがよく使われます。
養生
・悪化条件をさけられるよう努力を。
・高カロリー・高脂肪食、アルコール、たばこ、コーヒー、香辛料の多いものは控える。
・甘いもの(お菓子、チョコ、ケーキなど)を控える。
・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)を控える。
・野菜やきのこ・海藻をたくさんとるようにする。