生理不順は、普通生理の周期が一定しないことをさし、痛みなどの苦痛がない場合は見落としがちな現象ですが、卵巣やホルモンの機能の異常をはらんでいる場合があり、特に妊娠を希望する方は、基礎体温とともによく観察し、ある程度周期を整えておく必要があります。
たとえば、生理が遅れがちで、排卵までの期間が長くなり、逆に排卵以降の期間が短く体温も低めという方は、卵胞ホルモンの分泌不足で卵胞の発育も悪く、そのため黄体ホルモンの分泌も不充分な、いわゆる黄体機能不全になっている可能性があります。
漢方では、ホルモンの働きを高める『補腎丸』や卵胞の材料となるよい血液を増やす『補血薬』を中心に使用して改善します。以前ご紹介した『周期調節法』も、生理周期のリズムをつける方法ですので、こうしたタイプの方には効果的です。大幅に遅れたり、生理の量が極端に少ない方の中には、無排卵月経の方が多く、『活血薬』や『補腎丸』を多めに用います。
また、逆に生理が早まりがちで、排卵までの時間が短い方も、質のよい卵胞が育っていない可能性が大きくなります。多忙や胃腸虚弱などによる全身のエネルギー不足のタイプや、ストレスや自律神経の乱れからくる機能亢進タイプが多いようです。こうした方は、体質に合わせて、『補気薬』や『補陰薬』『補血薬』などのお薬で、体質を改善して周期を整える治療をします。周期が整ってから『周期調節法』をとり入れるとさらに効果的です。
体質に合ったお薬を服用すると、3か月程度で、周期や体温がある程度整い、また（特に生理時や生理前）体調の改善がみられ妊娠しやすい健康な状態に近ずくことができます。