「サエラ」 2010年8月8日付…食養生 de 漢方 Life vol.1

■食から始める漢方生活◇立秋の候

【食養生 de 漢方 Life vol.1】
 サエラ173号で取材した国際中医専門員である滝澤澄子先生に「漢方的生活」を教えていただきます。二十四節気では「立秋」を迎えましたが、まだまだ猛暑の毎日。汗と共に大切なものも身体から出ているそうですよ。

「サエラ」 2010年8月8日付 漢方というと、煎じてのむ特別なもの・・と感じているかもしれませんね。でも、季節の変化や食生活を重視する中医学や漢方の発想を、健康維持のために生活に取り入れることも「漢方的生活」といえます。食事によって身体や心を補うことを「食養生」といい、漢方ではとても大切にしています。

 熱中症や夏バテが心配な季節―。暑い時期の発汗過多は、中医学では、汗とともに「気」や「津液」が、失われていると考えます。「気」とは、呼吸や心肺機能・消化・代謝などの機能全般のことを指します。「津液」(陰ということも)とは、潤いを保ち体を守るのに役立つ組織液のようなものです。また、飲んだ水を「津液」の状態にするにも「気」が必要になります。

 多量の発汗により、「気陰両虚」に陥ると、疲れ・だるさのほか体温調節などもうまくできなくなるのです。そのため、漢方での夏の健康管理は、消耗した気や津液を、上手に補給するのがポイントです。

「補気」 ◇気を補う◇

 漢方生薬としては、朝鮮人参が有名です。漢方薬によく使わる山芋(山薬)をはじめネバネバ食品も、胃腸を整え「気」を補う作用があるので、食事に取り入れるのがおすすめです。

「補陰」 ◇陰を補う◇

 この作用は、生薬では麦門冬などに含まれます。食べ物では、すいか・きゅうり・ゴーヤなどのウリ類、トマト・なすなどの夏野菜などです。また、梅干などの酸味も、収れんして陰を守ってくれるので、お試しを。

 冷たいものや、油っぽいものなどが続くと、胃腸が疲れてしまい、「気」がますます消耗するので要注意ですよ! 今、まさに旬のものを積極的に食べる・・これなら実践できそう。今後も時節に応じたお話を掲載します。